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市場相関とリスク分配について

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 2021年5月17日、ラジオNIKKEI、「キラメキの発想」に出演しました。視聴者の方から質問が届きましたので、質問と回答を掲載します: https://www.youtube.com/watch?v=bjhATk34F-w&list=RDCMUCUJjpiRm4NYM97zGsqt-bfw&start_radio=1 質問: 合計投資資金を3等分され、リスク分配されたと思います。仕掛ける時期によりますが、投資対象のATR(真の値幅)は、当然違うため、資金が同じですとリスクが変わってきます。そのため、ATRをもとに3分割するのはよくないのでしょか。ちなみに、どのくらいの期間、資金を3等分されるのでしょうか。当然ATRも変化するので、週ごとに見直すのはよくないのでしょうか。 回答: 投資資金を3分割したのは相関関係をもとにしています。3等分された各グループのこれまでの動きを把握するためにそれぞれのATRを確認することは良い分析だと個人的に思います。その結果をもとに平等ではないなく、ATRをもとに分割するのは一つの方法だと思います。 先物商品であれば、各商品の証拠金をもとに資金配分を決める方法もあります。ボラティリティーが急騰すると証拠金率は見直され、証拠金が引き上げられます。一方で、ボラティリティーが低下すると証拠金は引き下げられます。証拠金はATRと似た動きをしますが、値幅ではなく、直接、必要投資資金額なので、資金を管理する上で大切です。 相関をもとに投資資金を分割した場合、その相関の変化が表面化したとき、分割比率は見直されるべきです。変化していないのであれば、そのまま、配分率を維持しても良いと思います。個人的な見解ですが、2商品間の相関が崩れたとき、どちらかの商品に新たなトレンドが発生しています。トレンド・フォロー型運用であれば、トレンドのある商品により多くの資金を配分するべきでしょう。 ファンド運用の例として、純資産総額(NAV:Net Asset Value)の変化をもとに、リバランスさせることもあります。通常、月単位での見直しになりますが、それは各自の資金管理計画に次第だと思います。

6B - 英ポンド通貨先物

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  Barchart.com TFFレポート(Dealer) 5月14日にリリースされたCOTレポートの中で英ポンドとカナダドルのディーラーのポジションが52週安値を更新している。 昨年11月、英ポンド通貨先物(6B)は青線のファンド筋と赤線のコマーシャルズのポジションがクロスし、上昇トレンドがより鮮明になった。取組高も増加中で、より強い買いがマーケットに入ってきているようだ。 CME:COTレポート明細 一方で、ディーラー(コマーシャルズ)は取組高の30.4%のショートポジションを建てている。ファンド筋とコマーシャルズのポジションがかなり乖離してきているため、上昇トレンドに警告サインが灯っている。 英ポンド通貨先物(6B)のシーズナルパターンが下降しているときも上昇を続け、上昇モメンタムがかなり強くなっている。 トレンドの強さを示すADXは上昇中であるが、40から60までの警告ゾーンにまだ到達していない。上昇余地がまだ残っているため、ファンド筋とコマーシャルズのポジションが乖離してきているが、まだ上昇トレンドは終焉をむかえるとは思えない。 6Bの長期下降トレンドラインがこの先、レジスタンスになる。6Bがこのラインに接近したところでディフェンスモードにスイッチすべきで、それまで、6Bのロングポジションは保有されるべきだ。

シーズナルパターンに反したときの対応について

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 2021年5月12日に出演したラジオNIKKEI「賢者のマーケットインサイト」のなかでシーズナルパターンに反したときの対応について話しました: https://www.youtube.com/watch?v=5DAlaGkHKVE この対応について質問が届きましたので、ここで質問と回答を掲載します; 質問1: ADXを使われていました。14ですと、反応が遅いので、パラメータが「7」のように思いました。「7」を使われていますか。 回答 1 : 通常、パラメータは 7 に設定しています。しかし、これといったマジックナンバーはないと思います。 質問2: 反したときの買いで、最初は、8日の陽線、終値1756.5をブレイクしたときですが、次は、29日の陰線、高値1789.9をブレイクしたときになっています。終値、高値どちらを優先されていらっしゃいますか。 回答2: 通常は高値を転換ポイントとして買いシグナルを模索しますが、これまでの検証では終最高値は自然とレジスタンスになっていることが多いため、転換点として捉えています。 質問3: 反したときの買いで、最初は、3月31日からの上昇波動の8日の終値の高値をブレイクしたときですが、次は4月13日からの上昇波動の高値21日(図:赤色の矢印)ではなく、2日前の高値をブレイクしたときになっています。どのような基準で高値を決められていらっしゃいますか。 回答3: 英語だとSwing Highというポイントが高値としています。 質問4: 損失をしたとき、途転の倍返しで損失を埋めようとする戦略ですが、すぐに手仕舞うように言われました。損失がなくなれば手仕舞うのでしょうか。あるいは、裁量でなく、例えばADX(7)が反転、ヒストグラム減少(図:紫色の矢印)のようなテクニカル指標を使うのでしょうか。 回答4: 仕切りポイントはトレードルール(ここではシーズナルパターンに反したとき)を検証したときに決めます。一つの例として、平均損益を参考に、どのポイントで仕切ると良いか検証します。ラリー・ウィリアムズはポジションをもってから最低一取引日、保有してから、最初に利益がでた寄付という“Bail Out“を紹介しています。この仕切り方は調べると素晴らしい出口になっています。 質問5: シーズナルパターンに反したとき、ADXの上昇と直近の高値を超えたとき

6C - カナダドル通貨先物

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  Barchart.com FTTレポートより カナダドル通貨先物(CAD/USD)のディーラー(コマーシャルズ)の売りが52週安値を更新した。ディーラーは活発にカナダドルの売りヘッジを実行している。そのため、今後、カナダドル通貨先物価格が下降する可能性が高まってきている。すぐにカナダドルが下落することはないが、下落リスクをヘッジするコマーシャルズの動向は無視できない。 Barchart.com カナダドル通貨先物(週足)・COT・TFFレポート 過去5年間のデータをみるかぎり、ディーラーのショートポジションはかなり多い。もちろん、売り玉の枚数は重要なデータだが、取組高と持ち玉比率に目を向けるべきだ。 CME COTレポートツールより ディーラーのショートポジションは全取組高の53.2%で、大多数の売りはディーラーによるヘッジと言える。彼らはマーケットで利益を追求しているのではなく、保有しているアセットのヘッジのため、カナダドル通貨先物をショートしている。そのため、カナダドル通貨先物価格が下落しても売りヘッジを解消しないことも多い。 2017年の最高値終値をマーケットは意識しているようで、言い換えると、そのレベルまでは上昇するだろう。そのレベルに到達したあとに利益を確定する動きにより上昇トレンドが終焉をむかえるのか、と言うことが問題である。トレンドの強弱をはかるADXは53と警戒ゾーンに突入している。上昇トレンドの終焉が間近に迫っている。 カナダ銀行(中央銀行)は2021年4月21日の金融政策決定会合で、市場予想通り政策金利を0.25%に据え置く一方、国債の購入額を減額(テーパリング)することを表明した。現在の週次国債購入額(40億カナダドル)を翌週から30億カナダドルに減額することが決定された。カナダ中銀の発表を受けた市場の反応を見ると、カナダ国債市場では購入額の縮小を反映して利回りが上昇し、一方カナダドルは上昇した。 今後のカナダドルはカナダ国債の市場次第と言えるが、それだけではなく、依然、テーパリングに消極的なアメリカの中央銀行の意向次第である。想定されていたテーパリングの発表をうけて市場に大きな動揺はない。一時的にカナダドル高を警戒する場面もあるだろうが、カナダドル通貨先物市場をベアマーケットへ移行させる要因はない。当面、カナダドルが売られたところで買い建