6C - カナダドル通貨先物

 

Barchart.com FTTレポートより

カナダドル通貨先物(CAD/USD)のディーラー(コマーシャルズ)の売りが52週安値を更新した。ディーラーは活発にカナダドルの売りヘッジを実行している。そのため、今後、カナダドル通貨先物価格が下降する可能性が高まってきている。すぐにカナダドルが下落することはないが、下落リスクをヘッジするコマーシャルズの動向は無視できない。

Barchart.com カナダドル通貨先物(週足)・COT・TFFレポート

過去5年間のデータをみるかぎり、ディーラーのショートポジションはかなり多い。もちろん、売り玉の枚数は重要なデータだが、取組高と持ち玉比率に目を向けるべきだ。

CME COTレポートツールより

ディーラーのショートポジションは全取組高の53.2%で、大多数の売りはディーラーによるヘッジと言える。彼らはマーケットで利益を追求しているのではなく、保有しているアセットのヘッジのため、カナダドル通貨先物をショートしている。そのため、カナダドル通貨先物価格が下落しても売りヘッジを解消しないことも多い。


2017年の最高値終値をマーケットは意識しているようで、言い換えると、そのレベルまでは上昇するだろう。そのレベルに到達したあとに利益を確定する動きにより上昇トレンドが終焉をむかえるのか、と言うことが問題である。トレンドの強弱をはかるADXは53と警戒ゾーンに突入している。上昇トレンドの終焉が間近に迫っている。

カナダ銀行(中央銀行)は2021年4月21日の金融政策決定会合で、市場予想通り政策金利を0.25%に据え置く一方、国債の購入額を減額(テーパリング)することを表明した。現在の週次国債購入額(40億カナダドル)を翌週から30億カナダドルに減額することが決定された。カナダ中銀の発表を受けた市場の反応を見ると、カナダ国債市場では購入額の縮小を反映して利回りが上昇し、一方カナダドルは上昇した。

今後のカナダドルはカナダ国債の市場次第と言えるが、それだけではなく、依然、テーパリングに消極的なアメリカの中央銀行の意向次第である。想定されていたテーパリングの発表をうけて市場に大きな動揺はない。一時的にカナダドル高を警戒する場面もあるだろうが、カナダドル通貨先物市場をベアマーケットへ移行させる要因はない。当面、カナダドルが売られたところで買い建てるのが主力戦略になるだろう。


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