書評:トレードで成功をするための「聖杯」はポジションサイズ




タイトル: トレードで成功をするための「聖杯」はポジションサイズ
著者: トム・バッソ
発行: パンローリング

この本のタイトルは長い。しかし、このタイトルこそが答え。しかし、多くの個人投資家(トレーダー)が知りたいのは違うのではにだろうか。おそらく、それは、”少額から始める”、90ページに書かれている。トムいわく、”簡単な答えはなく、唯一の合理的な方法はどうにかしてトレード資金を増やすことしかない。” 新たなビジネスをはじめるとき、誰もが資本金のことを考える。それが数百万なのか、それとも、数千万円なのか。 もちろん、少額からスタートして成功をおさめたいと願うが、その成功確率は低い。資金不足によるビジネスの失敗はトレードの世界でも同じ。そのため、私自身、できるだけトレードに関係した職について資金を稼ぐのが一番と思うが、今では、トレーディングに関する求人は90年代と違い、かなり少ない。

ラリー・ウィリアムズの講演を日本で企画し、その講演を通訳したとき、多くの参加者がラリーに質問してきた。多く寄せられる質問は、「トレード資金は、いくらあれば良いのでしょうか」。ラリーの答えはシンプルに1万ドル。約100万円であった。その意図を彼に確かめたことがある。ラリーいわく、1万ドルで足りるとは思わないが、失っても、また貯蓄可能な金額で、トレードを実際に体験するのに十分な金額。
トムも本書で、”最初はできるだけ少ない枚数でトレードしてほしい”と書いている。
成功をおさめたトレーダーからのメッセージは同じである。

ポートフォリオの資金が十分にある前提で、本書では、3種類の運用アプローチが紹介されている。とても簡単でわかりやすいが、一般はその重要性を理解できない。もちろん、本書の目的はシンプルなアプローチによるポートフォリオ運用の管理手法の紹介なので、それは十分、網羅されている。

監修者まえがきにあるが、「だれもがトレードで大成功できるとは限らない。なぜなら、それには運の要素が絡むからだ。だが、トレードで成功し豊かな生活を送ることならだれでも必ずできる」とトムは監修者に語っている。

トレードルールやシステム構築に費やす時間よりも資金管理計画をたてるのに時間を要した。フロリダで出合った当時、CMEのピットトレーダーからもらった投資資金に応じた取引枚数表のコピーとシンガポールで知り合ったファンドマネジャーから教えてもらった資金管理計画の青写真の作り方など、本などからは学べない多くのポイントを実践者から教えて貰えたことに感謝している。

トムはトレーダーに多くのテンプレートを書籍と彼が運営しているウェブサイトを通じて提供している。本書は150ページほどの短い本ではあるが、資金管理計画を作成するには素晴らしいテンプレートを提供している。


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